理事長コラム/Column
第5回/晴耕雨読の里「アグリパークZAO」を支援する
日本の近代史をひも解くと歴史的な転換が約70年ごとに3度ありました。1度目は1868年の明治維新。2度目は1945年の悲惨な敗戦。3度目は2011年3月11日に起きた東日本大震災と福島第一原発事故ではないかと考えています。
今、65歳を過ぎた団塊の世代が700万に達している。この世代は私も含め、20年前にバブル経済に踊らされ、その後のバブル崩壊によって痛い目に合った世代でもあります。ちょうど今、国民に人気のあるデフレからの脱出と称した「アベノミクス」はその時代の再現のようであります。
近代文明はデカルトに始まり、ニュートン、アインシュタインによって物理的に進められ合理主義が基本として発展してきました。すべては機械の部品のごとしでありますから、欠陥がでたら部品を交換すれば何とかなるといった考え方です。そして250年前産業革命へとつながり、空間も時間も無限で永遠に発展できると信じてきたわけです。その究極が核分裂による永遠のエネルギーである原子力発電所でありました。しかし1昨年の東日本大震災や原発事故に遭遇し、その制御と除染や廃炉へ向け、部品交換などでは何ともならない解決不能な苦難を見ると、近代文明には賞味期限が来ているのでは思わざるを得ないのです。
私ども人間にもモノにもすべて終わりがあります。生きとし生きるものすべて、最終的には酸化(燃焼)することによってエネルギーを取得し、その結果ゴミとして二酸化炭素を排出いたします。これはエントロピーの法則です。ところが植物だけが違っていて、二酸化炭素というゴミを分解してきれいにしてくれます。さらにエネルギーの源である炭素に還元すらしてくれます。これを光合成といいます。特に植物や森林は大きな力を持っています。手入れをしながら使えば半永久的に使え、循環型社社会の実現が可能となるのです。
アグリパークZAOでは山形県が廃止した県立蔵王西部牧場の跡地である耕作放棄地180haを再生利用するために設立されました。私どもNPOも発起人として参加しております。ここでは団塊の世代を中心として「農ある暮らし」を求める方々をサポーターとして募集しております。(興味のある方は
アグリパークのHP
をご覧ください)
私どもは耕作放棄地に緑と森の復元をしなければなりません。何故ならば人間は、生物としては圧倒的に猿に近いと言われております。特に都会に住む団塊の世代には、再度アベノミクスに翻弄され、カネやモノへの所有欲は捨て、健康に暮らすには野鳥の泣く声やハーブの香り、野菜の栽培を通して土や森と繋がっていく生き方をしてほしいのです。
最早この国はアジアの30億人を抱える国々と比較すればすっかり豊かで成熟した国であり、彼らの所得(1/10)をみると、例え円安にしても「もの作り」ではとても競争にはなりません。安いものがどんどんと日本になだれ込むことを防ぐことはできません。デフレは先進国の宿命であり、インフレにしたければ株や為替などのマネーゲームか不動産投資以外にないとすれば、この道は「いつか来た道」とならないことを祈るばかりです。
余計なお世話かもしれませんが、成長したければアジアの国に工場だけ進出するのではなく退路を断って移民をするくらいの覚悟で進出してください。儲からなくなれば撤退するなどという輩はアジアに進出どころか、成長したいなどを望む資格はなく、アジアへの進出を諦めるべきです。そういった観点から団塊の世代は無駄な抵抗を止め、晴耕雨読の里でゆったりと食糧の自給自足に努め、さらに自然循環の中に身を委ねる生き方をすべき時なのです。